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鳥取78.8MHz 用瀬77.2MHz 智頭83.4MHz              

HEARTFUL DAYS

今日も聞こえてきます。
しまねに暮らす誰かのホンネのお話。

舞台は島根のとある場所にある、
ホンネダイニング「はーとふる」。
番組の主役はご来店されるお客様。
店内で繰り広げられる
様々な会話に聞き耳を立てると・・・
いらっしゃいませ!
ようこそ「はーとふる」へ!

放送日時

[月曜日]18:30-18:55

SPECIAL - 特別コンテンツ

ミニドラマ 「ただいま」と「おかえり」の物語

制作:エフエム山陰/TOKYO FM/シャ・ラ・ラ・カンパニー/島根県 
脚本:北阪昌人

島根県がもつ、
深い優しさ、
本物の美しさ、
静かな力強さ。

住んでいたときには気づかなかった故郷の魅力に
都会に出てからはじめて気づいた。
だから今、「ただいま」を言いに帰る。

そんな、島根県に暮らす人々の
心の景色を音にしました。
どうぞお聴きください。

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宍道湖篇(しんじこへん)

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ミニドラマ 「ただいま」と「おかえり」の物語

『宍道湖』篇

【前篇】

(都会の雑踏)
(ランニングしている足音)
冴子
(息が荒く)はぁはぁ、私は、走っている。
東京・・・皇居の周りを走っている。
夕陽が無数の窓に反射する。
お堀に、オレンジ色が、にじんで見えた。
ふと、ふるさと松江、宍道湖に落ちる、夕陽を思い出した。
(遠くクルマのクラクションなど)
♪~
冴子
ああ、でも、この景色は、宍道湖とは、違う。
宍道湖の夕陽は、一度たりとも、同じものがなかった。
空には常に雲がかかり、その雲にオレンジ色が、
不思議なグラデーションをつくる。
ああ、なんだか・・・帰りたいな。
(スマホの振動)
冴子
(とって)はい、お母さん?
冴子、いま、いい?
冴子
うん、今ね、走ってたの。
え、どこ?
冴子
心の中の・・・宍道湖のほとり。

それから1年後の、とある夕方

【後篇】

薄紫の山脈は~ はーるか・・(「薄紫の山脈」-島根県民の歌-
(ランニングしている足音)
冴子
(息が荒く)はぁはぁ、私は、走っている。
松江・・・宍道湖のほとりを走っている。
水面に、夕陽のオレンジ色が、にじんで見える。
(一畑電車の警笛、走行音)
♪~
冴子
東京で、IT企業に勤めていたけれど、
今は、前からやりたかったWEBデザイナーとして、
島根で働いている。
仕事を終えると、宍道湖のほとりを、走る。
陽が傾き、沈み、やがて見えなくなるまで、走る。
こんなにもたくさんの色が、世界を満たすなんて、
前は、気づかなかった。
黄色、オレンジ、赤、それが紫になり、やがて、
青、藍色、紺・・・。
・・・あぁ、風が、気持ちいい・・・。
冴子
あれ?お母さん!
そろそろ、ここらへんを通るかなってね。
冴子
ベンチに母がいた。
嫁ヶ島が、シルエットになって、綺麗だねえ。ほら、
見てごらん。
冴子
母と並んでみる宍道湖は、泣けてくるほど、美しかった。
ああ うるわしの わが島根~ (「薄紫の山脈」-島根県民の歌-

【人物設定】

冴子(東京28歳→現在29歳)
芯は強いが、完璧主義で何にも手が抜けない。
都会で仕事を一生懸命やりすぎて、少々心も身体も疲れ気味。
親にも弱音をはかないが、そんな冴子を母は、いつも心配する。
ランニングの時間は、唯一、自分を取り戻す時間だった。
心は、自然を求めていた。

母(62歳)
女手ひとつで冴子を育てた。最愛の娘が東京で元気が無いのを、ただただ心配していた。
松江に戻ってきて、そばにいることで安心するも、まだ娘が心配。
いつも言葉で多くを語らずに、娘をやさしく見守っている。

島の汽笛篇(しまのきてきへん)

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ミニドラマ 「ただいま」と「おかえり」の物語

『島の汽笛』篇

【前篇】

(隠岐汽船の銅鑼が響き渡る)
(「がんばれ!」「元気でねー」など見送りの声援)
達夫
今日、息子の健太が、隠岐を出ていく。
良美
あれ、達夫くん、この船じゃないかえ? 健ちゃん、
達夫
ああ、
良美
そいならもっと、船の近くにいかっしゃい、こんな後ろにおらんで。
見えんよ、健ちゃんから、ほら、テープ、テープ、はってあげんと。
達夫
いいわ、俺はここで。
良美
なーへ。もうしばらく会えんなるとこでしょ。
大阪だったかえ、大学。
♪~
(良美の言葉が、途中からフェイドアウトして、達夫モノローグが忍び込む)
達夫
野球部の仲間が、大声で健太の名前を呼んでくれている。
泣いているのは、マネージャーの女の子だ。
みんなと、テープでつながった。
健太、いい友だちに恵まれて・・・
よかったな・・・。
(汽笛の音)
達夫
「元気で 父より」そうLINEを送ったが、
健太から、返事はなかった。
良美
もしかしたら、もう二度と、島には戻ってこんかもねえ。

それから、10年の月日が流れて

【後篇】

薄紫の山脈は~ はーるか・・(「薄紫の山脈」-島根県民の歌-
(汽笛の音が聴こえる)
達夫
隠岐汽船のフェリーが、姿を見せた。
西郷港に、入ってくる。
あそこに、息子の健太が、乗っている・・・。
オレは・・・ターミナルの2階で、待っている。
(ターミナルの音)
良美
あれ!達夫くん、
達夫
ああ、
良美
あの船にさ、乗っちょるんだわ、ウチの娘、さやかが。
どげしたの?
達夫
あ、ああ、まあ、出迎えっていうか、
良美
そう。ああ、さやかね、サンテラスで働くことになったんだわ。
達夫
そいか~、よかったな、
良美
やっぱり、隠岐がいいっちょ。島がイチバンだって。
達夫
そいか。
♪~
達夫
ネットを使って起業することを決めた、健太。
こっちに戻ってくるって聞いたときは、
うれしくて、うれしくて飛び上がった・・・。
良美
うれしいがねぇ、若い人が、戻って来てくれるって。
達夫
なんて言って迎えようか・・・。
おれ嬉しいわ、健太が帰って来てごして・・・
言えるかな・・・オレ、
ああ、来た、健太が・・・キャリーバッグを引いて・・・
(迎える人々の声)
達夫
おかえり!
隠岐の島山 夢のごとー 
達夫
・・・健太、おかえり・・・。
ああ うるわしの わが島根~ (「薄紫の山脈」-島根県民の歌-

【人物設定】

達夫(43歳→53歳)
島の役場に勤め、主に観光誘客を担当している。
不器用で、口下手。でも、子ども思い。
自分も大学の時に、大阪に出た。だから、島を出る息子をとめられない。
でも、さびしい。

良美
達夫と、小学校、中学校の同級生、おさななじみ。
農協に勤めている。ざっくばらんで世話好きな女性。

石見神楽篇(いわみかぐらへん)

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ミニドラマ 「ただいま」と「おかえり」の物語

『石見神楽』篇

【前篇】

効果音
(石見神楽の鳴り物が響き渡り)
亮介
石見神楽の鳴り物が響く・・・。
物心ついた頃から、この音はいつもそこにあった。
亮介
子どもの頃、神楽をやるより、
友だちとサッカーをしているほうが楽しかった。
でも、ある夜・・・
効果音
(虫の声 夜の空気感)
亮介
サッカーの練習帰りに神社の神楽殿を覗くと、
三つ上の兄が・・・スサノオを舞っていた。
カッコよかった!
効果音
(神楽 大蛇のクライマックス)
亮介
大蛇に翻弄されながらも、高く振り上げた剣で
一歩も引かないスサノオノミコト。
すごかった!
どんなヒーローショーより、ドキドキした。
効果音
(砂利を踏む足音)
神主
ボク、神村(かみむら)さんとこの、亮介君?
お兄ちゃんみたいに、やってみるか?
亮介
いきなり、神主さんに声をかけられ、
亮介(8歳)
ボクは・・・ボクは・・・。いいです。
(走り去る音)

その夜から30年という月日が流れて

【後篇】

薄紫の山脈は~ はーるか・・・(「薄紫の山脈」-島根県民の歌-
亮介
高校卒業と共に、島根を出た。
♪~
東京の大学に進学、就職も東京の会社に決めた・・・。
でも・・・親から帰ってこいと言われ迷っていたとき、
効果音
(石見神楽の鳴り物)
亮介
たまたま東京で、石見神楽を観た・・・。
今、俺は、地元の石見で神楽社中のまとめ役をしている。
亮平
ねえパパ、
亮介
なんだ、亮平、
亮平
ボクね、神楽が、やりたい。
亮介
・・・どうして?
亮平
ん?だって、カッコいいんだもん、スサノオ。
亮介
スサノオはな、誰もがやれる舞手じゃないんだ。
♪~
スサノオノミコトはな、ただの神様じゃない。
乱暴で、怒ったり暴れたり、とっても荒ぶれた神様なんだ、
どこか、人間くさいところもあってそれから・・・。(フェードアウト)
亮介
ポカンと口をあけている我が息子、亮平。
なぜ、俺はこんなに熱くなってしまうのか。
・・うれしかったんだ。自分の息子が、
神楽に興味を持ってくれて・・・。
効果音
(石見神楽 再び~)
亮平(エコー)
ボクね、神楽が、やりたい。
ああ うるわしの わが島根~ (「薄紫の山脈」-島根県民の歌-

【人物設定】

亮介(現在38歳・回想8歳)
真面目で、一度決めたら曲げない頑固者。自分の思いをひとに話すのが苦手。
いつも心に「ご縁」や「神様」を感じて育った。
実家は、建築業。石見に戻り、家業を継ぐことになった。

亮平(8歳)
亮介の一人息子。石見生まれの8歳。
将来スサノオの舞手になりたいと思っている。

作品中に島根県民の歌が一部流れています。
全編はこちらでお聴きいただけます。

「あ、安部礼司」をはじめ
数々のラジオ番組を手掛ける、
脚本家北阪昌人氏による書下ろし
脚本家 北阪 昌人氏

脚本家 北阪 昌人氏

『NISSAN あ、安部礼司』他、『サウンドライブラリー~世界にひとつだけの本~』(朗読・木村多江)、『yes~明日への便り』など、書いた音声ドラマ作品は1500本を越える現代ラジオドラマ脚本の第一人者。ギャラクシー賞、芸術祭、民放連賞など受賞多数。最近では、構成・脚本を担当した新しい音声CMコンテンツ『聴いて旅する幕の内 おととめし』で、第60回ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSのラジオ&オーディオ広告部門 入賞、第24回アジア太平洋広告祭(ADFEST 2022) メディア部門シルバー、オーディオ部門ブロンズ受賞。
著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、絵本『えいたとハラマキ』(小学館)、『ラジオドラマ脚本入門』(映人社)がある。

北阪氏のプロフィールはこちら

※エフエム山陰では、各ミニドラマ前編後編で番組本編を挟んで放送しています。
そちらもぜひお聴きください。

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OHANASHI

※各話の内容とプロフィールは放送日時点のものです

2023.07.14


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しまね暮らしのホンネをラジオから。

しまね暮らしのホンネをラジオから。

いろんな価値観。いろんな生き方。
希望や喜び、戸惑い、悩みなど
しまねで暮らす人たちのホンネが
ラジオから聞こえてきます。
日々の暮らしの中で感じる
あんなことやこんなこと
実はみんな似たようなことを
思っているかも・・。
「そげそげ」「そがぁだがぁ」「それなー」
思わずうなずいてしまう、
しまね暮らしのあるあるに
聞き耳を立ててみませんか?

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